経審(経営事項審査)の点数の見方をわかりやすく解説

建設業者にとって、経営事項審査(経審)は公共工事の入札資格を得るために必須の審査です。
ここでは、審査の結果として表示される点数(P点)や各評価項目の見方、点数が企業の入札評価や経営改善にどう役立つかを分かりやすく解説していきます。

経審の総合評点(P点)

経審(経営事項審査)は、建設業許可業種区分ごとに総合評点(P点)で評価します。
P点の高さが、公共工事の入札における資格や競争力を左右するため、多くの業者が注目します。
P点は「X1、X2、Y、Z、W」という5つの主要な評価項目の得点から構成され、それぞれが企業の経営規模や安定性、技術力、社会的な信頼性などを表しています。

X1(完成工事高):売上規模を示す

X1は、建設業の売上規模を示す「完成工事高」を表す項目です。
これは、直近の2年または3年間の平均完成工事高を基に算出され、会社の規模や工事実績を反映します。

  • ポイント:X1はP点の25%を占めるため、完成工事高が高いほどP点も上がります。
  • 工事種別:業種に応じて算出方法が異なるため、自社の強みとなる業種での売上が重要です。

安定して高い工事売上を維持することが、X1で高得点を得るためのポイントです。


X2(自己資本額および平均利益額):財務基盤の安定性を測る

X2は、企業の財務的な安定性を測る評価項目です。
自己資本と直近2年間の平均利益を基に算出され、経済的な信頼性や資金力を評価します。

  • ポイント:X2はP点の15%を占めるため、自己資本や利益が高い企業は有利です。
  • 経営の健全性:収益性の高い業務運営を行うことで、より高い評価を得られます。

X2が高い企業は、長期的に安定した経営基盤を持つと見なされます。


Y(経営状況):財務指標による健康状態

Yは、企業の財務指標を評価し、経営の健康度を測る項目です。
ここでは、流動比率や自己資本比率などが考慮され、財務的なリスクの度合いが評価されます。

  • ポイント:YはP点の20%を占めるため、財務の安定度が高いほど高得点に。
  • 分析内容:流動資産と流動負債のバランスや、自己資本と他人資本の比率などを総合的に評価。

Yの評価を上げるためには、余裕を持った財務管理とリスクの低い資金調達が求められます。


Z(技術職員数および元請完成工事高):技術力と業績を示す

Zは、企業の技術力と実績を示す項目です。
技術職員の数や、元請として完了した工事の総額が反映され、企業の実力を証明します。

  • ポイント:ZはP点の25%を占め、専門技術職員の充実度や工事実績の高さが評価に直結します。
  • 技術職員数:技術者資格やスキルレベルが高い職員を確保することで評価アップ。

技術職員の充実度と元請実績が、公共工事に対する信頼度を高めるため、採用や育成にも力を入れる必要があります。


W(社会性等):社会的な信頼性と貢献度

Wは、社会的な信用や企業のCSR活動の一環を評価する項目です。
従業員の福利厚生や地域社会への貢献、法令順守などが評価基準となり、企業の社会的な存在価値を示します。

  • ポイント:WはP点の15%を占め、社会貢献度の高さが評価を左右します。
  • 評価内容:社会保険の加入状況、コンプライアンスの実施状況などが反映。

公共性の高い活動や、社会貢献活動を行うことで、より高い評価を得られます。


各項目の改善ポイント

各項目の得点を上げるためには、具体的な対策が必要です。以下、項目ごとの改善ポイントをまとめました。

  1. X1(完成工事高):安定して受注量を確保するため、入札戦略を見直し、効率よく工事を行う。
  2. X2(自己資本額および平均利益額):資金管理を強化し、利益率の高い工事や支出の見直しを行う。
  3. Y(経営状況):負債を抑え、財務指標の改善に努める。特に、短期の資金繰りに気を配る。
  4. Z(技術職員数および元請完成工事高):資格取得を奨励し、実務経験のある技術職員を育成する。
  5. W(社会性等):社会保険の完備や法令順守の徹底、CSR活動の推進を行い、信頼度を高める。

経審の活用方法

経審の結果を理解することで、単に入札資格を得るだけでなく、経営改善にもつなげられます。
各項目の得点を意識し、定期的に点数を見直すことで、企業の強みと弱みが可視化され、持続的な成長が期待できます。
経審は会社の財務や実力のバロメーターとしても役立つので、評価点の向上を目指していきましょう。


まとめ

経審(経営事項審査)の理解と対策は、建設業界での競争力を高める重要なポイントです。
自社の得点を把握し、改善可能な分野を見つけることで、公共工事の受注確率を上げるだけでなく、企業の信頼性や健全性の向上にも役立ちます。
各項目の特性を理解し、計画的に経営を改善していくことが、持続的な成長と競争力向上への鍵となるでしょう。

経審を取得することで、建設業者は、受注機会の拡大、融資の受けやすさ、経営の安定化など、様々なメリットを得ることができます。

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