建設業を営む上で欠かせない「経審(けいしん)」とは?
この記事では、建設業における経審とは何か、その目的やメリット、申請方法、必要な書類、審査基準などをわかりやすく解説します。
1. 建設業における経審とは?
1.1 経審とは何か?
経審とは、公共工事への入札参加を希望する建設業者が、審査基準日(通常は決算期現在)の経営状況や財務状況、技術力などを客観的に評価される「経営事項審査」のことです。
この「経営事項審査」を、略して「経審(ケイシン)」と呼びます。
平成6年の建設業法改正により、公共工事の入札に参加する建設業者は、経審を受けることを義務づけられました。
審査は、国土交通省が定めた基準に基づき、第三者機関である「経審機関」によって行われます。審査の結果は、経審評価点として数値化され、建設業者はランク付けされます。ランクに応じて、入札に参加できる公共工事の発注予定価格の範囲が決まります。
公共工事の発注者は、入札参加条件として経審結果である「総合評定値通知書」の提出を求めているため、公共工事を元請けとして受注したい建設業者は、必ず経審を受け、「総合評定値通知書」を取得・提出する必要があります。
1.2 経審の目的
経審の目的は、以下の3つに集約されます。
・建設業者の経営状況や技術力を客観的に評価することで、信頼性の高い業者を選定すること
・公共工事の適正な価格決定と円滑な事業執行を促進すること
・建設業者の経営安定化と健全な発展を支援すること
2. 経審を受けるメリット
経審を受けることで、建設業者には様々なメリットがあります。
2.1 受注機会の拡大
経審評価点は、公共工事の入札や民間企業からの受注において重要な評価要素となります。
高い経審評価点を得ることで、より多くの案件に応募できるようになり、受注機会が拡大します。
2.2 融資の受けやすさ
金融機関は、経審評価点が高い企業に対して、信用力が高いと判断し、融資をしやすい傾向があります。
経審取得は、資金調達をスムーズに行うための有効な手段と言えます。
2.3 経営の安定化
経審を受けることで、自社の経営状況を客観的に把握することができます。
経営上の課題や改善点を見つけ出し、適切な対策を講じることで、経営の安定化に繋がるでしょう。
2.4 企業イメージの向上
経審を取得することで、企業の信頼性や実績をアピールすることができ、顧客からの信頼度を高める効果も期待できます。
3. 経審の申請方法と必要書類
経審の申請は、以下の手順で行います。
3.1 経審機関への登録
まずは、経審機関に登録する必要があります。経審の申請は、建設業許可を申請した都道府県に対して行います。
3.2 申請書類の準備
経審機関に登録後、申請に必要な書類を準備します。
主な申請書類は以下の通りです。
・経審申請書
・会社案内
・定款
・貸借対照表
・損益計算書
・経営状況説明資料
・技術力証明資料
・その他必要な書類
3.3 申請書類の提出
準備した書類を、経審機関に提出します。
3.4 審査
審査項目は「経営規模」「経営状況」「技術力」「その他審査項目(社会性等)」の4つです。
3.5 審査結果の通知
審査結果が通知されます。審査に合格すると、経審評価点が発行されます。
4. 経審の審査基準
経審の審査基準は、国土交通省が定めた基準に基づいています。
4.1 経営状況
・会社の設立年数、従業員数、資本金
・売上高、利益率、負債比率
・経営計画、事業計画
・安全管理体制
4.2 技術力
・技術者の資格取得状況
・過去の施工実績
・設備、機械の保有状況
・技術開発、研究活動
4.3 財務状況
・資産、負債、純資産
・現金比率、流動比率
・債務償還能力
5. 経審評価点の活用方法
経審評価点は、公共工事の入札や民間企業からの受注において、以下のように活用されます。
5.1 公共工事の入札
公共工事の入札では、経審評価点が「加点」として評価され、総合評価方式によって落札業者が決定されます。
5.2 民間企業からの受注
民間企業は、経審評価点を参考に、信頼性の高い業者を選定します。
6. 経審取得の注意点
経審取得には、いくつかの注意点があります。
6.1 申請書類の誤り
申請書類に誤りがあると、審査に影響を与える可能性があります。
申請前に、書類の内容をよく確認し、誤りがないかチェックすることが重要です。
6.2 審査基準の理解
経審の審査基準は、複雑で、常に変更される可能性があります。
最新の審査基準を理解し、それに対応した書類を作成する必要があります。
6.3 経審評価点の維持
経審評価点は、有効期限があります。有効期限内に更新手続きを行う必要があります。
更新手続きを怠ると、経審評価点が失効し、受注機会の減少や融資の受けづらさなどに繋がります。
6.4 経審取得費用
経審取得には、申請費用や書類作成費用などの費用がかかります。
費用対効果を考慮し、事前に予算を立てておくことが重要です。
7. 経審に関するよくある質問
- 経審は取得しなければならないものですか?
-
経審(経営事項審査)は、公共工事の入札に参加し、元請として受注する建設業者が必ず受けなければならない審査です。公共工事であっても下請として受注する場合は不要です。また民間工事では元請・下請のどちらでも経審は不要です。
- 経審を取得するのにどれくらい時間がかかりますか?
-
審査期間は、経審機関によって異なりますが、通常は1~2ヶ月程度です。
- 経審の評価点はどのように算出されますか?
-
経審評価点は、経営状況、技術力、財務状況などの項目を総合的に評価して算出されます。
- 経審を取得すると、受注が必ず増えますか?
-
経審を取得しただけでは、受注が必ず増えるわけではありません。
しかし、高い経審評価点を得ることで、受注機会を拡大できる可能性は高まります。
8. 経審は公共工事を直接請け負う建設業者に義務付けられた重要な審査
この記事では、建設業における経審について、その意味や目的、メリット、申請方法、必要な書類、審査基準などを詳しく解説しました。
経審を取得することで、建設業者は、受注機会の拡大、融資の受けやすさ、経営の安定化など、様々なメリットを得ることができます。
実際の経審データの最新情報をご覧になりたい方はこちら。
\ 経審データの検索なら経審ビズ /

